Heaven


心に新しく芽生えた感情。
俺はそれを素直に受け止めていた。
この気持ちは本当だ。
美加より美羽の方が気になる。

陸に向けて言った言葉に返事は当然ないが、きっと聞こえていたに違いない。
陸はどう受け止めるだろうか?


俺はポケットの中に眠っているネックレスをぎゅっと握る。
美羽に返さなくてはいけない。
でもそれよりさくらの方が先だ。
さくらを探しに行こうと、屋上を出たと同時に、学校全体にチャイムの音が鳴り響く。
二時間目の授業が始まったのだ。


『やば…』


俺は勢いよく階段を駆け下りる。
そして教室に向かうのだ。
教室に入ると、まだ先生は来ていなかった。
ふぅ…と溜め息をついて席に座る。
ふと前を見ると、前の席のヒカルとその隣のさくらの席は空席。
そして…美羽の席も空席だった。

美羽はどこに?
鞄すらない。

じゃあさくらとヒカルは?
ヒカルの鞄はそのまま。

また俺は仲間外れのようだ。



< 147 / 424 >

この作品をシェア

pagetop