Heaven


ヒカルの気持ちを知った俺には分かるよ。
ヒカルは不器用だから、愛情表現が苦手なのだ。好きという気持ちを優しさに変えるから、さくらは勘違いしているのだ。
本当は教えあげたい。
だけどヒカル本人の口から『好き』と言わなくては、意味のないこと。

俺はぐっと堪えて、
さくらに『そっか、泣きやんでよかった』とだけ言って、自分の席に戻る。
ちょうどその時、眠そうに欠伸をしながらヒカルが教室に入って来た。
ヒカルはさくらに『大丈夫か?』と聞く。
さくらは『うん』と頷き、笑顔を見せる。

確かに見えたのだ。
二人の間に結ばれる一本の赤い糸を。
錯覚であって欲しくない。
結ばれていて欲しい…永遠に…


二人の問題は一応解決をしたが、まだ俺には問題が残っている。
それは美羽のこと。
ポケットにはまだネックレスが眠っている。

返したい…
でも返す前に聞きたいのだ…
陸と美羽の話を。



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