Heaven


見えた気がする。
俺とヒカルの間に、一本の絆が…。
ヒカルも見えたかな?


教室のドアを思い切り開けて教室を出ていくヒカル。
美加は硬直状態なままだった。
一度愛したのに、今は近寄って抱きしめてやることでさえ出来なかった。これは心の表れ。
もう美加のことを愛していないという証拠。


俺は美加から視線を逸らし、横を向いた。
もう一方のドア側に、
笑顔を見せるヒカルがいた。

急に締め付けられる心臓。
『ありがとう』って言わなくちゃ。
ヒカルは、俺のために美加の正体を見せてくれたのだから。



『あのさ…ヒカル…』


一歩、一歩…ヒカルに近寄る俺。
するとヒカルの手がすっと伸びて、俺の頭に軽く触れた。



『…帰るぞ。雅』



ヒカルの前では泣かないと決めていたのに…体は裏腹なことをした。
俺の瞳からは我慢出来なかった液体が流れる。



優しすぎだよ、ヒカル。


< 194 / 424 >

この作品をシェア

pagetop