Heaven
人間は人間の優しさに触れるとき、改めて人間は温かいものだと気付く。それが早かったり、遅かったり、時間は様々だけれど、いつか気付くこと。
人間は…想像していたものより…遥かに…
温かい─…
なぁ、ヒカル─…?
ありがとう─…
すっかり暗くなった街を俺達は歩いていた。
バスには乗らないでいた。今日はゆっくり話したい気分だから。
お互いに。
街灯で照らされた道を歩く俺とヒカル。
『…ヒカルは知ってたんだ?美加は俺に気持ちがないって』
『気づいたのは最近だよ。怪しいなって思ってたけど』
『ヒカルすげぇよな。俺全然分からなかったし』
小さな小石を足で蹴る。その時思った。
なぜこんなにも平然としてられるのかな?
普通だったら泣けてくるはずなのに…
なぜだろう?
この清々しい気持ち。
ふと空を見上げると─…
今日は満月だった。