Heaven


夜空に浮かぶ月がこんなにも綺麗だと思ったのは今日が初めてかもしれない。



『雅…あのさ…』



突然ヒカルは歩んでいた足を止め、俺を見つめた。
その瞳に吸い込まれていく俺。
俺は『何?』と言う。


風が吹く…
口笛を吹いているような…柔らかい風…。



『…俺、さくらに告白するよ…』



満面な笑顔で言うヒカルの顔が、夜空にある満月の輝きとどこか似ていた。
そんな姿にまた涙が出そうになるがぐっと堪える。


『そっか!良かった!すげぇ安心した…ヒカルには幸せになってもらいてぇし!!』



『…さんきゅ…』



ヒカルの笑顔が好きだ。ずっと笑っていて欲しい。
俺の分まで笑ってくれよ…


幸せになってくれ。



さくら…お前も見てるか?
この満月。
今のヒカルは満月のように鮮やかに輝いているよ。
もう少しだよ…さくら。


お前に良い報告がくるのは。



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