Heaven
荷物を置きに行くため、俺は部屋へと行く。
真っ暗な部屋に明かりを灯して、ネクタイを外す。
ふぅ…と一息ついて、ポケットの中にある携帯を取り出したとき、携帯以外になにかが俺の手に収まった。
『ん?』
なんだ?と思いながら、それを掴み、手を開くと、それは…ハートの欠片のネックレスだった。
そしてこれは美羽のもの。
忘れていた。
拾ったことを。
返さなくてはいけない。
だけど今、美羽との距離は遠い。
どうすることも出来ないだろう。
ふとあることを思い出す。
あの公園で美羽と偶然会ったとき…美羽は探し物をしていると言った。
もし…これが美羽の探し物だったら?
ぎゅっとネックレスを握って、どうするか考えた。
でも答えなど見つからない。
ハートの欠片に
『riku』と刻まれた文字…
俺はこのネックレスをポケットの奥深くに戻した。
もう見ることのないように。
だけどこのネックレスがまた…美羽との距離を
縮めるんだ…