Heaven


ポケットの中に眠るネックレスは、ずっとこのままだった…
俺がそうしていたのだ。もう見ないように…
思い出さないように…



…時間は俺の恋を進めないまま過ぎていく。
ネックレスをポケットにしまってから、1ヶ月が経とうとしていた。

当然、もう桜など散っていない。
春の季節は忘れられたかのよう。
すぐそこには夏がいて、でもその前に梅雨の時期がやってくる。


美羽とは一度も話していない。
何度か目は合うのだが、口を開こうとはお互いしないのだ。

でもこのネックレスがきっかけを作ってしまうんだ…


時間が経てば美羽を忘れられるかなって思っていた自分の考えは、甘かった。
時間が経てば経つほど、美羽が愛しいと思うのだ。

美羽が─…欲しいと。


そんな感情は全て押し殺すしかない。
なにも出来ない…


どうしたらいい?
誰か教えてくれる?


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