Heaven
今更直す必要もないだろう。
俺は自分の席に座って、会話の続きをする。
今日の話の内容は、
カップルで行きたいデートの場所。
ヒカルとさくらはその話に盛り上がっていた。
ふと隣を見ると、
やはり美羽の姿だけがない。
カバンは、机の上に乗っている。
相変わらず空を眺めているのだろう。
俺は深く考えたくなくて、すぐに視線を逸らした。
『雅、なんか落ちた』
ヒカルはこう言って、
俺の鞄から落ちた物を拾う。
ヒカルが拾った物は、一枚の四角い紙。
『ん?…あ!』
それは一枚の写真だ。
入学式に貰った、写真。御守りにしておいた写真だ…
俺はヒカルから写真を受け取って、その写真を見つめる。
秘密の場所の写真。
最近行ってないな…と小さく呟く。
『綺麗な写真だな』
『うん。すげぇ綺麗…』
いつ見ても綺麗だ、と思わせる爺ちゃんが撮った写真は…
彼女までも惹きつけた。