Heaven
俺はそれを鞄の中へは仕舞わず、何故かポケットの中へと入れた。
俺にもなんでか分からない。
きっと、こうしろって神様が言ったのだろう。
会話の続きをしていると、教室に担任ではなく副担任の先生が入ってきた。
少し頭が薄くなった中年の先生。
蒸し暑いせいか、額の汗をハンカチで拭いている。
『あれー?沢村先生は?』
一人の男子生徒が、
副担任に向かって言う。額を拭くのをやめて、教台の前に立つ副担任。
『えー、沢村先生はしばらくお休みされます。赤ちゃんがね、生まれるみたいで』
知らなかった真実を副担任から聞いた俺達は、一気にざわめき出す。
赤ちゃんが生まれる?
知りもしなかった。
それもそうだろう。
先生はそういう話をしていなかったから。
副担任は俺達の状況を無視して、出席をとっていく。
そんなざわついた教室に、美羽が戻ってきた。
やはり、暗い表情で…