Heaven


探しもの。
この言葉であることを思い出す。
1ヶ月程前に、公園で会ったときも『探しものをしている』と言っていた。
まだ…見つからないのか?

キミが探しているものは、ハートの欠片?


『…まだ見つからないの?』


『そうよ。この排水溝の中に入っちゃったのかな?』


美羽は立ち上がって、膝についた砂を手で祓う。そして小さな排水溝を指差した。


締め付けられる胸。
罪悪感が俺を襲う。



『美羽が探してるのってさ…大事なものなの?』

『当たり前じゃない。
あれがなかったら…思い出せなくなりそうなの』


美羽が探しているのはネックレスだと確信をする。
『riku』と刻まれたハートの欠片をキミは望んでいるのだろ?



俺はごくんと唾を呑み、ポケットの中に手を差し込む。


…ある。
まだネックレスが眠っている。


ネックレスを手の中に納め、俺はゆっくりと美羽に差し出した。



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