Heaven


刻々と時間が過ぎていく。
次に時計を見ると、時計の針は4時半を示していた。
あと、30分か…
俺はオレンジ色に染まった教室を静かに出て行く。
静かな廊下。
ふと窓から空を覗くと、空を横切る飛行機雲があった。
まるで空に落書きをしているよう。

俺は小さく微笑んで、先を進む。


ちょうど下駄箱まで来たところで、ポケットの中に入っていた携帯が震えだした。


『んーと…』


俺はローファーを履きながら、携帯を取る。
画面に写された文字は、数字のみ。
090から始まる、11個の数字たち。
名前は出ていない。
誰だろう?

携帯を耳に当て、その電話に出る。


『はいはい?』


《…雅、か?》


俺かを確認するように、電話の相手は慎重にこう言った。
どこかで聞いたことのあるハスキーボイス。


『春?春か?』


すぐに分かった。
この声は春だと…


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