Heaven
逃げないって決めたから。
俺は美羽を守るから─…
『うん、それで?』
『陸とやっと想いが繋がったと思ったら…陸はあたしの目の前で…死んだ…の…』
唇を噛み締めて、涙を耐える美羽の背中を優しくさすってあげる俺。
本当は抱きしめてあげたいけど…今はやめよう。
抱きしめるのは、
美羽が全て話した時にしよう…
『…ゆっくりでいいよ。美羽…』
『陸のね…?最後の言葉があたしの中にまだ残ってて…。陸…あたしに向かって《美羽》って呼んで…笑ったの…痛いはずなのに…苦しいはずなのに…』
陸は、美羽の目の前で事故に遭ったらしい。
その日はちょうど、美羽の誕生日だった。
涙を流す美羽から、俺は一度も目を逸らさなかった。
もし逸らしてしまったら、美羽を失いそうで…。
『…陸はあたしが殺したの…』
美羽は陸がいなくなってから、自分を責めてばかりだ。
苦しまなくていいんだよ?
俺が支えるから…