Heaven
怖がらないで─…
俺がキミを助けるから…
月が見え始めた頃…
俺は美羽の過去の世界へと色を変えた─……
あたしは、高木美羽。
好きなものは天国。
なぜかって?
聞かなくてもいいでしょう?
ひとつ言えるなら、
陸がいるからよ─…
嫌いなものは、この世界。
だって、陸がいないもの─…
大好きな、大好きな陸が…。
陸が最後にあたしに残した言葉と、あの笑顔がずっと離れないでいた。
あれは、あたしの誕生日。
今でも覚えている。
陸から出る、鮮やかな赤い血。
眩しい車のライト。
沢山の野次馬。
そして…弱った愛しい恋人…。
あの日は、もうすぐ梅雨の季節がやってくるという時期で、湿った空気があたしたちを包んでいた。
必死に陸と名前を呼ぶあたし。
『陸…陸…!!目開けてよ!!』
陸はあたしの呼びかけに応えようとしていた…
うっすらと目を開けて、ゆっくりと口を開いてこう言った。