Heaven


春はあたしを助けてくれたよね。
いつも助けてくれたよね…。


『ほらほら、喧嘩しないの!美羽ちゃんの席は春香ちゃんの後ろだからね』


あたしは園児たちの視線を感じながら、空席の席へと座る。
机の端には『たかぎ みう』と平仮名できりんのシールが貼ってあった。あたしはそれを触る。

仲間。
まだこの言葉が慣れていなくて…
でも不安は少しずつ消えていった。


『なぁ、俺、黒川春香って言うんだ!春でいいよ!よろしくな!!』


すると前の席の春があたしの方を向いて、八重歯を見せて笑った。
春が『俺』と言って、
あたしはあまり抵抗はなかった。


『うん…よろしくね?美羽って呼んでね?』


『おう!美羽な!』


春はあたしの初めての友達だ。
いつもあたしの傍にいてくれて、いつも支えてくれる。
大切な、大切な友達。


ふと、隣を見ると、その席は空席だった。
机の横には今人気のヒーローのタオルが掛かっている。



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