Heaven
『お前忘れたの?俺、陸哉だよ?ほら!昨日!』
この言葉であたしは思い出す。
ベランダ…
シャボン玉…
星空…
あなたの笑顔…
高鳴る心臓…
『り…く?』
『そうだよ!陸!忘れんなよな!!』
昨日は暗くてあまり陸の顔が分からなかった。
でも今は太陽の光で陸の顔がはっきりと分かる。
大きな瞳、さらさらな髪の毛…ピンク色の唇。
笑うと猫のようで…
たちまちあたしの心臓は速くなるのだ。
『陸、また遅刻かよ?』
すると春が陸を見て笑う。
『ちげぇよ!寝坊!』
『だからそれを遅刻っていうんだよ。な?美羽!』
春があたしに会話を振る。
あたしはどうしたらいいのか分からず、とっさに首を縦に振った。
陸と隣が嬉しくて…
あたしは早く幼稚園に行きたくて仕方がなかった。
この日、あたしと春と陸は近所という接点から、毎日一緒にいるようになる。
そして幼稚園を卒業し、小学生になり、あたしは『恋』という字を知ることとなった。
…成長していくにつれ、あたしの心は陸に奪われていた─…
ずっと、ずっと…
一緒にいたいと思っていたの─…