Heaven


その言葉が聞こえてきた方を見ると、窓からグラウンドを眺める女子、数人がいた。
きっとあの子が言ったであろう。

北村京子。《きたむら きょうこ》

あの子に間違いない。
京子は学年一可愛いと言われている。
同姓から見ても六年生には見えないくらい大人っぽく、可愛い。
性格も明るく、活発で、みんなの人気者だ。


『美羽?聞いてるのか?』


いきなり黙りだしたあたしを心配した春があたしの顔を覗く。
あたしは小さく微笑んで、再び視線を京子に向けた。


京子は陸に気があるらしい。
バレンタインのチョコを家まで届けに来ていたのを見てしまったから。


あたし?
あたしは…あげていない。
だってそんな勇気はない。
いつも一緒にいるのに、今更チョコをあげて何になるの?
気まずくなるのが見えている…


陸はあたしのことなんて、友達としか思っていないでしょう?



< 247 / 424 >

この作品をシェア

pagetop