Heaven
この初めての感情が、
ヤキモチだと気づいたのは、中学生になった頃だった。
この日、あたしは約束通り陸と帰った。
春はバスケクラブに入っていて放課後は毎日練習で、一緒には帰れない。古くなったランドセルに、荷物を入れて、陸の席にいく。
『陸、帰ろ?』
『おう!帰ろ!!』
あたしと陸は隣同士に並んで、家路に向かう。
ちょうど下駄箱に来たところで、陸はいきなりこう言った。
『俺トイレ!』
『え…ちょっと!』
陸は走ってトイレに向かってしまったのだ。
一人残されたあたしは、靴を履こうと思い、靴を履く。
赤いコンバースの靴。
実は陸とお揃い。
色は違うけれど。
陸が履いていたのを見たあたしは、母親にねだって買ってもらったのだ。
陸は気づいているかな?
『美羽ちゃん!』
すると背後から声が聞こえてきた。
あたしは後ろを振り返る。
そこには…
『京子…』
京子がいた…