Heaven


この初めての感情が、
ヤキモチだと気づいたのは、中学生になった頃だった。


この日、あたしは約束通り陸と帰った。
春はバスケクラブに入っていて放課後は毎日練習で、一緒には帰れない。古くなったランドセルに、荷物を入れて、陸の席にいく。


『陸、帰ろ?』


『おう!帰ろ!!』


あたしと陸は隣同士に並んで、家路に向かう。
ちょうど下駄箱に来たところで、陸はいきなりこう言った。


『俺トイレ!』


『え…ちょっと!』


陸は走ってトイレに向かってしまったのだ。
一人残されたあたしは、靴を履こうと思い、靴を履く。
赤いコンバースの靴。
実は陸とお揃い。
色は違うけれど。

陸が履いていたのを見たあたしは、母親にねだって買ってもらったのだ。

陸は気づいているかな?

『美羽ちゃん!』


すると背後から声が聞こえてきた。
あたしは後ろを振り返る。
そこには…


『京子…』


京子がいた…


< 251 / 424 >

この作品をシェア

pagetop