Heaven


思わぬ京子の登場で、
世界が止まってしまう…

『なに?』


京子は自分の靴を取りながら、あたしに笑顔を見せる。
その笑顔が背筋がぞっとするくらい不気味で…


『美羽ちゃんと陸って仲良いよねぇ。羨ましいなぁ…』


『そ、そうかな?』


あたしは靴ひもを結び直しながら、京子の言葉に答える。

するといきなり京子は大きな音を出して、下駄箱の扉を閉めた。
その音にびくっと反応するあたしの体。

ゆっくりと見上げると、怖い表情を浮かべ、あたしを見下ろす、京子がいた。


『…悪いけど、京子負けないからね。陸は京子のだから』



なんて言ったらいいか分からなかった。
黙ることしか出来なくて。
言い返すことなんて出来るわけがない。


怖くて、あたしはごくんと生唾を呑む。


『じゃあね、また明日ね』


こう言って、いつもと同じ表情に戻る京子。
京子が去ったと同時に、陸が戻ってきた。



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