Heaven


喋りたいのに、
上手く喋れなくて。

こんな自分大嫌いだ。

陸は大人になっていく。気のせいかな?
少しだけ背が伸びたような気がする。


またあなたは、
あたしの心を奪うのでしょう?




…そして中学生活も慣れ始めてきた秋。
あたしと陸は思春期という時期に入っていた。

学校の廊下ですれ違っても、ただ目が合うだけで、会話はない。

話せないのは悲しいけど、目が合うだけであたしは十分。
だって、胸が嬉しそうによく弾んでいるから…


そんな思春期の時期、
クラスの仲が良かった、聡《さとし》という子に放課後残って欲しいと言われ、あたしは夕日色に染まる教室で聡を待っていた。


聡とは小学生の頃、喋ったことなどなく、中学になった時、同じクラスになり、仲良くなった。
聡は春と親友関係らしい。
道理でいつも一緒にいるわけだ。



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