Heaven
そんな枯れ葉から視線をずらし、前へと向けると、陸の家の前で誰かの人影を見た。
暗くて誰だか分からない。
あたしは一歩、一歩進んでいく。
するとその人影からくしゃみの音が聞こえてきた。
このくしゃみは…陸だ。
『くしゅっ…』
『…陸?』
やっぱり陸だ。
手を鼻に抑えて、あたしを見つめる。
久しぶりに見る陸は、あたしの身長なんか余裕に越していて…。
カッコ良くなっている。
ずるいよ、陸…
『美羽…久しぶりだね。こうやって話すの』
『そうだね。話す機会なかったもんね』
陸は部活の格好をしている。
あたしと同じ頃に部活が終わったのだろう。
足元が土で汚れていた。
『なぁ、美羽?今からベランダで話さない?久しぶりに話したいんだ。美羽と』
『うん…あたしも話したい』
やっぱり体は素直で…
あたしの体は寒さなんて忘れていたの─…
あたしは陸が好き…
あなたがいなくなってから、あたしはベランダに出るのが怖かった─…
あなたを思い出になんかしたくないの─…