Heaven


そんな枯れ葉から視線をずらし、前へと向けると、陸の家の前で誰かの人影を見た。
暗くて誰だか分からない。

あたしは一歩、一歩進んでいく。
するとその人影からくしゃみの音が聞こえてきた。
このくしゃみは…陸だ。

『くしゅっ…』


『…陸?』


やっぱり陸だ。
手を鼻に抑えて、あたしを見つめる。
久しぶりに見る陸は、あたしの身長なんか余裕に越していて…。
カッコ良くなっている。
ずるいよ、陸…


『美羽…久しぶりだね。こうやって話すの』


『そうだね。話す機会なかったもんね』


陸は部活の格好をしている。
あたしと同じ頃に部活が終わったのだろう。
足元が土で汚れていた。

『なぁ、美羽?今からベランダで話さない?久しぶりに話したいんだ。美羽と』


『うん…あたしも話したい』



やっぱり体は素直で…
あたしの体は寒さなんて忘れていたの─…


あたしは陸が好き…


あなたがいなくなってから、あたしはベランダに出るのが怖かった─…


あなたを思い出になんかしたくないの─…



< 260 / 424 >

この作品をシェア

pagetop