Heaven
幼なじみ…
皮肉にも、この言葉だけがあたしの体を駆け巡る。
血液が流れるように…。
もっともっと大事なサインを、陸はしてくれたのに、あたしは気づいていないのだ。
幼なじみという言葉が嫌で仕方がない。
昔はこの言葉で優越感に浸っていた時もあったのに、今は一番厄介な言葉だ。
まるで陸に、幼なじみ以上のことはないと言われているよう。
あたしはぎゅっと手を固く握りしめた。
泣きそうになるがぐっと堪える。
泣いてしまったら、
あたしの気持ちが知られてしまう…きっと。
『そ…うだね。ねぇ、陸はさ、好きな人とかいないの?』
ちらっと陸を見て、
あたしは震える唇を動かしてこう言う。
…─あたしたちの恋は、遠回りの恋だったかな?
陸は真っ直ぐ、輝く夜空を見て言葉を並べていく。
陸の大きな瞳には、この夜空の輝きが映っていて、陸は夜空が似合うと思った。