Heaven


前もこんなことを聞かれた覚えがある。
あたしはまたあの時と同じ答えを返すのだろう。
今陸に気持ちを伝えたところで、どうなるかは分かっているから。

振られるのは分かっている。
それを承知で告白することは、あたしには出来ない。

怖いから…
陸との関係を壊したくない。


でも、あたしは大事なことを忘れていた…。



『…いないよ…』


陸の顔を見ることが出来ず、下を向いて唇を噛み締めて言った。


陸はこの時、どんな気持ちで聞いていたのだろう?
どんな表情をして聞いていたのだろう?


悔やんでも、
悔やんでも、
答えは分からない…



『美羽には幸せになって欲しいな…』


陸も強がりだったね…
あたしたち、似ているのかな?


『ありがと…陸もね…』


何でかな?
陸が遠いと感じるの…
ベランダの距離は近いのに、心が遠い─…。


時間が経てば、
忘れられるのかな─…



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