Heaven


嫌だよ、そんなの…
怖いよ、助けてよ…



…ねぇ、陸?


あなたは忘れようとしたことある?



…陸とあたしの心は離れていく。
あたしはそう感づいたのは、冬が過ぎ、春が過ぎ、二年生の夏が間近迫ってきていた頃だった。


あれ以来、陸とベランダで話すことはなかった。お互い勉強と部活が忙しくなり、暇さえなくなってしまったからだ。

それにきっと新しいクラスも原因なのだろう。
あたしは春と同じクラスだった。
そして聡とも同じ。

告白されて以来、気まずい関係が少しだけ続いたが、あたしが嫌になり、話しかけ今まで通りになった。

陸とはまた違うクラス。京子は陸と同じ。


神様はとことんあたしに意地悪なのだろう。


夏がやってくる、暑い日。
蝉の声にうんざりしているあたしの所に、息を切らした春が走ってきた。

春の表情が、とても焦っていて、あたしは戸惑いを隠せない。



< 269 / 424 >

この作品をシェア

pagetop