Heaven


次第に涙が湧き出てくる。
歪む視界。
青色がはっきりと分からなくなってくる。


『…噂だけど…、俺も何回も見たことあったんだ。二人が一緒に帰ってるの…』


春はあたしに気を使って言わなかったのかな?
優しいね、春は…。


陸はあたしじゃなくて京子の方が好きなんでしょう?
あたしの方が陸のことを知っているのに…


我慢出来なくなった涙は、ゆっくりとあたしの頬を伝っていく。
ぽたり、と落ちる涙は、綺麗な円形となって、机の上に落ちた。



『もう諦めた方がいいのかもね…こんなの辛いだけだよ…』



『まだ分からんし…陸に聞いてみたら?陸から聞いた方が真実だと思うけど…』


春の提案に、あたしは首を振る。
必要ないよ、そんなの。
真実なんて聞きたくない。



あたしはいつも逃げてばかりだった…

肝心なところで真実から逃げて、あとで後悔するのだ。


この時も、春の言うことを聞いておけばよかったのに─…



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