Heaven


『…ごめんね、春…』


あたしから立ち去る春の背中に、小さな声で投げかける。
涙で歪んだ視界で、春を見た。
春はその場に止まり、振り返る。


『…俺さ、陸も美羽もすげぇ大事だから、どっちの味方も出来ねぇけど、美羽の泣き顔見るの、正直キツい。陸もそうだと思うけど?』


『…春…』


また、一粒の涙が落ちていく。


『だから笑いな?今日は泣いてもいいから、明日は笑え。諦めたくなければ諦めなくていい。でも後悔だけはすんな!』



春の言葉が、傷ついたあたしの恋心を癒やしていく。
泣いてはだめだ。
あたし言ったじゃない。陸の恋を応援する、と。
あの輝いた夜空の下で、誓ったじゃない。


陸、幸せになって─…


でも陸が迷惑じゃなければ、想っていてもいいかな?


『ありがとう、春…』




陸が迷惑じゃなければ、あなたを想って、
泣いてもいいかな?


泣いた分、
次の日は沢山笑うから…


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