Heaven


あたしはその日、
涙が枯れそうなくらい泣き続けた。
部屋を暗くして、部屋中はティッシュだらけになった。
外の風に当たりたい、と思い、ベランダの鍵を開ける。

もう鍵を父親や母親に開けてもらうことはなかった。
それだけ時は過ぎ、成長したということ。


でも陸に対する気持ちは、いくら体が成長したって一度も変わることがなかった。


あたしはベランダに出て、何故だろう?と考えてみる。


きっとそれは、
時が経つにつれ、成長していく陸が魅力的と感じるからだろう。

だからずっと好きなのだろう。


ふと空を見上げると、
蠍座が綺麗に見えた。


だが冬の星座よりは綺麗ではない気がする。
冬の星座の方があたしは好きだ。


陸の部屋のベランダに視線をずらすと、部屋に灯りがついていた。



『陸は何をしてるのかな?』


こう呟くあたし。
ベランダに出てくると期待して、あたしはずっと見つめる。


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