Heaven
視界には空だけが映るはずだったのに…もうひとつ何かが瞳に映った。
それは空を見上げて、
大きく手を伸ばしている、一人の女の子の姿─…
その子がまるで天使のようで、今にでも空に向かって飛んでいきそうで…
俺はその子に釘付けとなっていた。
サラサラな長い髪の毛…太陽が反射して、それくらいしか分からなかったけれど、俺の心はそれだけで奪われていた…
『綺麗…』
天使のようなあの子が、とても綺麗で。
あの子のバックにある青空もまた綺麗で。
俺の身体は暫く硬直したままだった。
周りの音など耳には入ってこない。
周りの景色など視界に入ってこない。
ただ映るのは天使のようなキミ。
だけど、そんなキミを見ていたら怖くなった。
もしかしたら本当に消えてしまうのではないかと思って…
俺は手に持っていたビラを離して、その場から勢いよく駆け出した。