Heaven
陸が何かを言いかけたと同時に、あたしは言葉を重ねる。
なぜこうしたのかは…
陸の口から聞きたくなかったからだ。
行く相手の名前なんか、聞きたくない…
自分の気持ちが崩れていきそうで。
ワザと強気に言うあたしは、陸から見たら弱々しかったかな…?
『え…』
戸惑う陸。
それもそうだろう。
突然こんなことを言われたのだから。
『あたしに教えてくれたっていいじゃん!京子と付き合ってるって!!あたし応援するのにさぁ…』
次々に零れる強がりな言葉。
次々に溢れる悲しい言葉。
今のあたしには作り笑いしか出来ない…
こんな祝福の仕方、嫌だよね…
陸には幸せになって欲しいの。
だから、だから…
陸の前では泣いたりしない。
『ちょ…美羽…』
困った様子を見せる陸に、あたしは最後に強がりを見せる。
心の中のあたしを見せないように、ピースサインを陸に向けた。
あたしの最後の最後の、強がり…