Heaven
~10.忘れない過去~
…光が見えない。
光があたしを遮る。
空にはこんなにも太陽が輝いているのに、
あたしの心には太陽がない。
こんな自分大嫌い。
消えてしまいたい…
あたしは一人、孤独に涙を流す。
また、涙を流す。
悔しさを涙に変えて、
苦しさを涙に変えて、
陸を忘れていこうとする。
忘れられないことくらい分かっている。
でも忘れないと光が見えないような気がして…。
こういうところを人は強がりと呼ぶのだろう。
あたしはまだ分かっていないのだ─…。
午後からは、泣き疲れた体を引きずり、部活へと出掛けた。
丁度サッカー部も午後から練習で、あたしは陸の姿を追うことはなかった。
…未練がましい。
…陸が嫌がるに決まっている。
部活が終了し、あたしは足早に帰宅しようとした時、グラウンドからあたしを呼ぶ声が聞こえてきた。
『美羽ー!!』
この声は、
愛しいあなたの声ではない。
…聡の声だ。