Heaven


空には月が浮かぶ。
夜では月が主役なのだ。でもその出番は太陽より短い。
いつの間にか、月から太陽に変わり、暗かった街を明るくする。

朝の訪れ。
小鳥の囀りが耳に響いてくる。
歌でも唄っているのだろうか?
とても楽しそうだ。

あたしはゆっくりと体を起こし、目を擦る。
そして薄暗い部屋を明るくするため、ベランダのカーテンを思い切り開けた。

ベランダからは朝の穏やかな風景が広がっている。
今日は休日のせいか、
いつもは慌ただしい街並みも、そうではなかった。

部屋から陸のベランダが少しだけ見える。
あたしは窓に手を添えて、陸のベランダを覗こうとする。


『まだ起きてないのかな?』


部屋がまだ暗い。
きっと寝ているのだろう。


『なにしてんだろ…あたし…』


急に虚しさが込み上げてくる。
こんなことしても意味ないのに…


溜め息を漏らすと、
ガラスが曇り、すぐに消えていった。


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