Heaven
それにしても今日は蒸し暑い。
浴衣を着ていくのはいいが、暑さに負けそうで怖じ気づいてしまう。
顔を洗いに行くため、
あたしは一階へと下りていく。
『美羽!ちょっとおいで!』
『ん?』
母親の声が、和室から聞こえてくる。
あたしは洗面所に向かうのをやめて、和室に向かった。
『美羽の浴衣。可愛いでしょう?』
和室に行くと、そこには誇らしげな表情を見せる母親と、黄色い華やかな浴衣が広げられていた。
つい、言葉を失うあたし。
だって…目の前に広がる浴衣が、とても素敵で。
浴衣の色は黄色。
そこに散らばる、夏の代表の向日葵。
帯は赤色だ。
子供っぽくもなく、
落ち着いた色調は、あたしにぴったりかもしれない。
こう自分で自画自賛してみる。
『すごい…可愛い!!』
『でしょう?昔お母さんが着てた浴衣なの。丁度美羽の歳くらいにね。取っといて良かった』