Heaven


ひらひらと桜のように落ちていくビラ。
突然走り出した俺を見たヒカルが驚いたのか、後ろで俺の名前を呼ぶ声が聞こえてくる。

だけどそんなのはどうでも良かった。
早くキミがいる場所へと行きたかったから…


靴を脱ぐことにも忘れて、初めて入る校舎を土足のまま駆け上っていく。真っ先に向かった場所は屋上。

きっとキミはここにいる。

サッカーで長距離は慣れているせいか、息をひとつも漏らさず、俺は目的地の屋上へと着いた。

落ち着きながら、ドアをゆっくりと押す。
太陽の光が眩しくて、俺は目を細めた。




『…誰?』


聞こえてきたのは、きっとキミの声だ。
小さくて、でもどこか可愛らしい声。



『…危ないよ。そんなとこにいたら…』


緊張をしているのか、俺は下を向いて、こう言った。


ゆっくりとキミを見ると空を見上げていた。
サラサラの髪の毛は、近くでみると更に艶やかで、俺の鼓動は速さを増した。



『危ないって…』


もう一度言うと、キミはこう言葉を零した。





『あたしはもっと先の世界にいきたいの。こんな世界大嫌い…』





これがキミとの初めての会話だった─…



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