Heaven


聡と約束したこと。
聡に背中を押してもらったこと。


それは全て、聡の優しさだよね?

ありがとう…
聡を利用するなんて出来ないよ…


人を傷つけたくない…

綺麗ごとかもしれないけど…この恋を貫きたい。

あたしは前に進む。
人混みを掻き分けて、
あなたがいる場所に向かうの。

でもなかなか前に進めなくて、誰かに押され、あたしは前に転んでしまう。

もし後ろに転んでいたら、あたしは前に進めなかっただろう。



『いったぁ…』


下駄が足から外れ、転がっている。
あたしは下駄を拾おうとし、手を伸ばすと、下駄が宙に浮いた。



『美羽、大丈夫か!?』


下駄を拾ってくれたのは─…あなただった…


いつもあたしが助けて欲しいときに陸は現れてくれるよね。


でもね─…
あたしは陸が助けて欲しいときに…助けてあげられなかった。


やっぱり陸はあたしのヒーローで…
あたしは陸にとって何だったかな…



『鈍感…』



陸は鈍感すぎる…


気づいて。
あたしの気持ち─…



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