Heaven
やっぱり自分で言わなきゃいけないのかな?
でも振られるのが目に見えている。
でも聡と約束をした。
逃げずに前に進むと…
いざ陸を目の前にすると、言葉が喉に詰まって…あたしは唇を噛み締めることしか出来ない。
『…鈍感?俺が?』
陸は眉間に皺を寄せて、あたしを支え、立ち上がらせた。
浴衣には土がついていて、柄の向日葵がどこか自然に咲いている向日葵に見える。
あたしに下駄を履かせた陸は、腰に手を回して、道路へと歩いていく。
一本違う道に出るだけで人の数は少ない。
あたしが歩いていた場所はあれだけ人で溢れていたのに、ここは人気がないようだ。
あたしの心臓が、
壊れそうなくらい…
うるさい。
蝉の声より、
賑わしい声より…
遥かに…うるさい。
『…もう…いいよ…
あたしのことはほっといて…京子のとこ戻ってよ…』