Heaven


素直じゃないあたし。
いつもそう。
嫉妬がおかしくさせるのだ。


『ほっとけるわけないだろ。また転んだらどうするんだよ』


こう言ってあたしの隣に座る陸。

陸が近い…
ベランダのときよりずっと。
ちらっと陸を見ると、
どこか悲しい表情を見せている。


またあの表情。
あたしのこと嫌いだからそんな表情を見せるの?
陸は京子と夏祭りに来ていたのに…あたしを助けて…
本当は京子のところに戻りたいのでしょう?


『京子のとこ戻っていいよ…。あたしはもう帰るとこだったし…』


聡からもらった、光沢のあるリンゴ飴をじっと見つめる。
その光沢であたしの顔が映っている。

初めて見る…
あたし陸といるときっていつもこんな顔をしているの?


その顔とは、今にも泣きそうで、でもなにかを求めているような顔だ。


あたしはいつも陸を求めているんだ…



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