Heaven


最後のお別れのときも…そうだったよね…

あたしのことなんか気にしなくてもいいのに─…

でもあたしは約束を破ってしまうの。


毎日泣いてしまう─…
陸との約束を守れないあたしがいる…


ごめんね…



…あたしの手に収まる小さな絆創膏。
なにも柄がないけれど、その絆創膏は陸の優しさという柄が描かれている。


『…美羽が気づかないとさ…いつまでたってもこのままだと思うよ?
じゃあね…』


陸は最後に小さく微笑んで、あたしの前から去って行った。
静かな道路に一人残されたあたし。
あたしはずっと、陸の背中を見つめていた。


街灯に照らされた主役は、あたしだけ。
陸がいないと輝くことさえ出来ないのに…


静かな道路で、
静かに涙を流す─…

一定の速さで…
声を漏らさずに─…


あなたの背中を見て、
愛しさを噛み締める…

追いかけることが出来ないあたしは…


臆病者すぎる…


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