Heaven

いつまでこんなに臆病者でいるつもりなの？

こう、心の中のあたしが叫ぶ。


お願い…

もう少し待って下さい…


陸からもらった絆創膏を、あたしは貼れなかった。
貼ってしまったらまた涙が溢れそうで。
そして、陸の優しさに苦しくなりそうで。


夏の季節はゆっくりと過ぎていく。
夏祭り以降、あたしは陸と一度も話すことはなかった。
互いに避けている、とでも言っておこうか。

夏休み中、陸と会うことはなかったし、部活で見る程度だった。

長いような夏休みは、
あっという間に過ぎていった。


夏休みでの思い出はない。
だが夏休みだったという証拠はいくつかある。
例えば日焼け。
それと、陸がくれた絆創膏。


夏の出番は終わり、
次は秋になろうとしていた。
新学期が始まり、いつもと変わらない日常が始まる。
聡と、また気まずくなるかな？と心配していたが、今までと変わらない関係と戻っていた。