Heaven


また、涙が出てきそう。

久しぶりに見た陸は、
月明かりに照らされていて…かっこよくて…
またあたしの心を締め付ける。

冷たい北風で揺れるブランコ。
ざわめく木々。

北風があたしの涙を乾かす。
あたしに『大丈夫だよ』と言ってくれているよう。


あたしはその声援を体で受け止めて、陸が座っているベンチに一歩近づいた。



…まだ、あたしの心はあなたを見ただけで…
こんなにも元気よく弾む。


好きという証。
愛しいという証拠。



『…陸…』




震える唇で、あたしはあなたの名前を口から零すの…。


あなたはゆっくりと顔をこちらに向けて、変わらない笑顔で─…

あたしを迎えてくれるでしょ…?



『美羽…』



名前を呼ばれただけで、体は熱くなり、ダウンなんていらなくなってしまう。


陸はあたしを手招きして、『隣においで』と指示をする。


素直に行動をするあたし。


陸がこんなにも近い…。


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