Heaven
世界中の人たちは恋人と甘い時間を過ごしているのだろう。
あたしはそんな人たちが羨ましくて仕方がなかった。
『鈍感なくせに意地っ張りで、でもすぐ泣くし…全然自分のこと話してくれねぇし、溜め込む癖あるし…』
『…陸…?』
『でもほっとけなくて。いつもそいつのこと考えてて…いつの間にかすげぇ好きになってたんだ…』
空に浮かぶ輝く星は、
あたしと陸の瞳までも輝かせる。
あたしは視線を足元に落として、陸の話に耳を傾けていた。
『好きになった理由がさ…名前だったんだ。そいつの名前が綺麗で…だってさ?美しい羽って書くんだぜ?綺麗すぎるだろ?』
陸のひとつ、ひとつの言葉が胸に残っていく。
言葉が出ない代わりに、涙が瞳から零れ落ちた。
陸の好きな人は─…
『…り…く…』
『俺、美羽が大好きなんだ。小さい頃からずっと。意地っ張りで泣き虫で、可愛い美羽が…』
陸の好きな人は…
『大好きなんだ…』
あたしなの─…?