Heaven


ワンピースをぎゅっと握りしめ、陸だけを見つめる。


視線を送り続けると、
陸がこちらを見た。

あたしを見た陸の顔が、何かにバレたような焦った表現だった。
それが余計に腹が立つ。
そんなにあたしに見られたくなかったの?



『み、美羽…』


限界を超したあたしの涙腺からは、静かに涙が零れ落ちた…。



『陸のこと…信じてたのに…』


瞬きをすると、涙が落ちる。
こんなの嫌だ─…


人通りの多い歩道。
あたしたちの状況など知らずに、通行人はあたしの間を通っていく。

あたしには周りの光景がスローモーションに見える。



『美羽!待って!!』


『聞きたくない…』


あたしは後ろを振り返って、走り出した。
点滅する青信号の交差点を…勢いよく走った。



もし…この時…
陸の話をちゃんと聞いていれば…


あなたを失わずに済んだのかな─…



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