Heaven
青空を横切っていく鳥たち。
キミはここから何を見ていたのだろう?と不思議に思ったが、あまり気にも止めなかった。
キミがここから空を見つめる本当の理由を知るのは、まだまだ先のこと。
俺は屋上を後にして、ゆっくりと階段を下りていく。
まだ新しいこの高校。
階段もそんなには古くなっていない。
高校の中身など知らない俺は何故すんなりと屋上に向かえたのだろう?
キミが誘導してくれたのかな?と、自分の冗談に笑っていると、横から声が聞こえてきた。
俺の名前を呼ぶ声。
『雅、お前なにしてんだよ?』
眉間に皺を寄せて、腕を組み、壁にもたれ掛かっているのはヒカルだった。
不機嫌オーラを漂わせて、俺を見つめる。
『え…あ、ごめん!ごめん!』
苦笑いを浮かべて、俺は不機嫌なヒカルに勇気を出して近付いた。
『いきなり走り出すから、驚いたし。しかもちっとも帰って来ねぇし』