Heaven


あたしは陸の手を握りしめて、涙を我慢した。



『…笑う…』


『そう…だよね…?
笑うんだよね…だから…笑ってよ…美羽…
俺…美羽の笑顔が好きだから…』



あたしは陸との約束を守ることが出来なかった。笑って…と陸は最後に言ったのに…あたしは出来なかった。

胸が苦しくて…
陸がいなくなるという恐怖に襲われていて。



『…陸…お願い…ずっと一緒にいてよ…約束したじゃん…』


もう一度、陸の顔を見る。
次第に陸の体が弱っていく。


かっこいい陸。
あたしの好きな陸。
あたしの大好きな陸。
あたしの愛しい陸。





…生まれ変わったら星になりたいんだ…



─…なんで?…─



…美羽の瞳をずっと輝かせたいから…



『陸…死なないで…』



すると陸はあたしを見て、小さく微笑んだ…。


そしてあたしに最後にこう言ったの…。






『…美羽…』







これが─…
陸の最後の言葉でした。


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