Heaven
あたしは酷く自分を恨んだ。
何であの時、話を聞かずに逃げようとしたのか。
聡との約束も破ってしまった。
そして陸との約束も…
あたしが死ねばよかったのに─…。
陸は搬送された病院先で死亡が確認された。
出血多量が原因みたいだ。
白いワンピースは、陸の血で真っ赤に染まっている。
あたしは搬送先で、ただ一人で立ち尽くしていた。
希望の光などもうない。
昨日までの幸せはもうない。
そして昨日までいたはずの陸の姿も…ない。
そんな現実が嫌で、嫌で、涙を流すことしか出来ない。
『…どうして…どうして陸が死ななくちゃだめなのよ!!』
目の前では陸の両親が泣き崩れている。
あたしは何も言えなくて、ただ空っぽのまま立っていた。
陸の最後の言葉が耳の中に残っている。
あの時、どんな想いであたしの名前を呼んだの…?