Heaven
~12.最後の贈り物~


静寂と共に、俺は美羽の過去から戻ってくる。


なんて言ったらいいか分からなかった。

ただ、美羽の過去があまりにも可哀想で…

可哀想という言葉をかけたら余計美羽が悲しくなるのではないかと思い、この言葉を自分の中に隠した。


辺りは真っ暗で、
空には三日月が浮かんでいる。

散らばった星たち。
それは陸の存在を思い出す。



『…美羽…』


まず初めにキミの名前が呼びたかった。
それに気がついたことがひとつ。
それは頬を濡らす涙だ。美羽の過去の話を聞いたら涙が出てきた。

出ずにはいられないだろう。


『あたしね…陸に何を残せたかな…陸はあたしと一緒にいれて…幸せだったかな…』


震える声で美羽は言葉を並べていく。
美羽から零れ落ちた涙は、美羽の制服の上へと染み込んでいく。


辛い過去を背負ったキミの涙は…
誰よりも、誰よりも、


綺麗だよ─…


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