Heaven


ヒカルは不機嫌になると口調が変わる。
もう何年も一緒にいるから慣れてしまったけれど、怖いのは変わらない。

『ごめん…ちょっと気になる子がいて…』


こういう時は素直に謝るのが一番だ。
それに悪いのは俺だから。


『気になる子?』


ヒカルは頭を掻きながら、廊下を歩き出した。
俺もそのあとをついていく。


『俺、見ちゃったんだ!天使を!!』


興奮しながら話す俺を見たヒカルの顔が、まるで変人扱いをするような顔で、俺はそんなヒカルを見たら少し悲しくなった。

本当に見たんだ、
天使のような彼女を。


『あっそ。それより、靴、かえたら?』


ヒカルは俺の足元を指差して、呆れるような口調で言った。

ヒカルの指示に従うように俺は自分の足元を見る。
無我夢中に屋上へと向かっていたせいか、足元はまだローファーのままだった。

焦ってローファーを脱ぐ俺。
恥ずかしくて仕方がない。


『早く言えよ!』


『言うタイミングを考えてた』



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