Heaven
だから、美羽は陸とお別れしても、思い出は残しておけばいいんじゃないかな─…
陸もそっちの方が喜ぶだろ?
『美羽、陸に会いに行きな?お墓参り行くとか…もうすぐ一回忌が来るだろ?』
すると美羽は俺の腕を掴み、下を向いて涙を垂らした。
キミは泣き虫だね…
でもね?
泣き虫は決して弱くないから…
泣けばいいんだよ…
『知らない…の。陸のお墓がどこにあるか…多分陸の両親が引っ越していった場所にあると思うけど…いつの間にかいなくなってたから…分からない…』
陸の両親は、この街で暮らすのを放棄したのだろう。
陸がいなくなってしまって、希望さえ失ってしまったはずだから…。
美羽は本当に辛い思いばかりしてきたんだね。
話を聞いていれば体で感じられる。
俺はゆっくりと美羽の頭を撫でた。
さらさらな髪の毛を。
陸のために伸ばしていた髪の毛を。
優しく、撫でた…