Heaven
最高だよ─…、陸。
陸は天にいて、
俺と美羽は地にいる。
距離は遠いけれど、
この二つは繋がっているから。
『そうだね…陸は凄いよ…』
美羽は俺の体に手を回し、彼女が持つ、ありったけの力で俺を抱きしめた。
その美羽の行動が嬉しくて、俺はまた愛しいと思う。
この幸せが逃げないで欲しいと心から願う。
奪わないで。
この人を…奪わないで。
…風の音すらないこの公園を、俺と美羽は出て行った。
俺たちのあとを、ひっそりと月が追いかけてくる。
街灯の光で、俺たちの影が道路に浮かび上がる。
その影は重なっている。
俺はしっかりと美羽の手を握りしめていたのだ。
幸せを肌で感じていたのだ。
でも…静寂は俺たちを嘲笑って見ていた…。
『そういえばさ、京子っていう子は?』
『京子は…陸がいなくなってから学校に来てないし…噂で転校したって聞いた…』