Heaven
笑わすから…。
この言葉を聞いて、
美羽はどう思ってくれたかな?
『ありがとう…じゃあまたね…』
美羽は俺が渡したメモをぎゅっと握りしめ、手を軽く振り、家の中へと入って行った。
俺はさっきまで美羽の手を握っていた手を見つめる。
美羽は生きているんだ。だってあんなにも温かかったから…。
俺は来た道を戻っていく。
途中、陸の家の前で止まり、見上げてみる。
美羽は言っていたね。
最後にどうして自分の名前を呼んだのかって。
俺も自分の答えに自信がないんだ。
なんとなく分かるのだけど…俺は陸じゃない。
『陸はどんな思いだった?』
この言葉は空気が運んでいく。
空に…。
陸は聞こえただろうか?
家に帰るまで、ずっと美羽の過去のことを考えていた。
思い出せば、思い出すほど…苦しくなって涙を流す。
静かな道路で、
俺は泣きながら歩いていた。