Heaven
ゆっくりとした速度で。落ちていく涙は光に反射をし、地面に変な模様を描く。
『やっと帰ってきた。おせぇぞ!!雅!!』
聞き覚えのある声が、道路に響き渡る。
俺は顔を上げて、真っ直ぐと道路の先を見つめた。
家の前で立っている一人の人間の姿。
街頭で照らされた金色の髪の毛が、なんだか嬉しそうだ。
『ヒカル…』
そこにはヒカルがいた。
『今まで何してたんだよ。俺ずっと待ってたんだけど?』
『あ、ごめん…ちょっと』
俺ははぐらかして、
急いで涙を拭いた。
そして笑顔を見せる。
でも俺が笑顔を見せても、ヒカルは黙って、笑ってはくれない。
『家入ろっか。上がれよ』
そんなヒカルの表情が怖くて、俺はヒカルを家に招いた。
そして無言のまま部屋へと行き、俺はヒカルに背を向けてネクタイを外す。
『ヒカル…どうした?こんな時間に…』
『お前さ、俺を誰だと思ってんの?お前なにかに悩んでるだろ?一人で悩んでたって答えなんか見つからねぇだろ?話せよ。早く』
人間は、一人じゃないんだ…。