Heaven
そして日曜日。
爺ちゃんの家までは電車で二時間程かかる。
でも乗り換えなどしなくていいから楽なのだ。
俺は昼に着くくらいに、家を出た。
美月と一緒に行こうと思ったのだが、美月は部活らしい。
しょうがなく一人で行くとしよう。
梅雨入りと発表されたのに、それを裏付けるような空だった。
澄んだ青色は、海を思わせる。
空に浮かぶ、海だ…。
そこに楽しそうに遊ぶ白い雲。
電車が、俺を運んでいく。
そして昼に近くなったころ、俺の目に田舎の景色が広がる。
田畑の作物が気持ちよさそうに揺れていた。
こんな景色、自分の地元ではあまり見られない。のんびりと時間が過ぎている。
俺は思い切り空気を吸い込んだ。
そして爺ちゃんの家の最寄りの駅に下車をする。
駅には誰もいなく、
ぽつんとあるベンチが寂しそうだった。
『雅、よく来たな』
駅全体に広がる、
久しぶりに聞く爺ちゃんの声。
俺はゆっくりと振り返る。